SusakiVeterinarian's Column
熱中症対策と予防 3
熱中症になったら、飼い主のあなたは、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
▶︎グッタリしてから60分以内に日陰の風通しのいい場所へ移動させる(木陰、窓を開ける、扇風機など)
▶︎水を飲みたがるならば好きなだけどんどん飲ませる
▶︎頭部、首筋横、脇の下、そけい部(後肢の付け根)を濡れタオル等で冷やす
▶︎氷や保冷剤、冷却グッズで冷やしても良し
※ただし、冷やしすぎはダメ(直腸温度が38℃台まで)
▶︎水を全身にかけて冷やすのは冷やしすぎに注意
▶︎犬の平熱は38.5~39℃くらいなので36.7℃以下になると、低体温症となるため、濡れタオルや冷却グッズで対処する方が、コントロールしやすい
▶︎粘り気のあるヨダレが多いならば取り除く
体温が下がって症状が落ち着いたからといって、安心して油断してはいけません。
見た目は平常に戻ったようでも、体内の臓器・組織がダメージを受けている可能性があります。
脱水や電解質等の補正や、体内のチェックをしてもらうため、必ず健康診断を受けましょう。
症状が出ていないからといって油断できません。
内臓にダメージを受けている場合もあります。
例え回復が早かったとしても、必ず受診してください!
Q.冷やすのが遅れたら…
Q,扇風機は無意味だと書いてありましたが…
Q.なぜ、首の付け根や脇の下、後肢の付け根を冷やすのですか?
Q.犬が熱中症になったら、とにかくガンガンに冷やせばいいのですよね?
Q.水に浸けるのも冷やしすぎによくないと聞いたことがあります…
Q.体温が下がって、症状が落ち着いたようなら、動物病院には行かなくてもいいですか?
体温が下がって症状が落ち着いたからといって、安心して油断してはいけません。見た目は平常に戻ったようでも、体内の臓器・組織がダメージを受けている可能性があります。
Q.グッタリしてから冷やすまでの目安ってありますか?
Qグッタリしてから60分程度経ってしまったので、犬を氷水に浸けて一気に冷やしていいですか?
低体温症を引き起こす可能性があります。つまり、平熱まで下がった体温が更に下がってしまうのです。もちろん、絶妙なタイミングで冷やすのを止めればいいのですが、それは難しいので、身体を冷やすときは水道水を使ってください。
補助的に氷を頭や首の付け根や脇の下、後肢の付け根(そけい部)のは有効ですが、それも冷やしすぎにならない様に注意が必要です。
Q.小型・中型犬はお風呂に水をためてそこに浸けるのは有効ですか?
ただし、氷水のように冷たいのは避けてください。身体が濡れてしまうと、冷えすぎになったときに止められないので、濡れタオルや冷え冷えグッズで対処する方が、コントロールしやすいです。
Q.どの段階で動物病院に連絡したらいいですか?
Q.冷やす前に動物病院に連れて行った方がいいのではないでしょうか?
いかがでしたでしょうか?
いざという時に役に立つ様に、ご活用いただければ幸いです。
あなたと、愛犬との暮らしに楽しい時間が多くなりますことを願っております。
熱中症対策と予防 2
そもそも、熱中症は防げない病気でしょうか。
今回は「犬」について考えていきます。
熱中症は「飼い主さんの配慮で防げる部分」と「犬側の要因」とがあるので、前者の部分は防げますが、後者の部分は飼い主さんが気配りしたからといって絶対に守れるというわけではありません。
どの子でも可能性があり、100%安心できるわけではありません。ですから、万が一のことがあったとき、必ずしもあなたのせいではないということです。
例えば、「飼い主さんが涼しいところを用意したのに、老犬の感覚が鈍っていて、そこに行かなかった…」なんていうことだってあるわけです。
ですから、飼い主さんに全ての責任があるわけではなく、飼い主さんの注意・配慮で絶対に守れるというわけではないことを覚えておいてください。どの子でも可能性はあるし、どの子でも安心はできないのです。
では、どんなサインが出たら熱中症を疑ったらいいのでしょうか?
▶体温が急上昇してそのまま下がらなくなって、グッタリする
▶高熱(直腸温度で40~42度 43度になったらアウト!)
▶ハーハーと浅く速い呼吸(パンティング)
▶大量のヨダレ→脱水→粘り気のあるヨダレ
▶異常に喉が渇
▶舌や歯茎の赤みが強い、目が充血している
▶目つきがどんよりしている
▶ふらふらして普通に歩けない
▶横たわってグッタリする、舌が横から出る
▶心拍数が増加する(ドキドキする、脈が速くなる)
▶嘔吐したり下痢や血便が出たりする
▶意識がなくなる
▶けいれん発作・昏睡状態
▶血圧低下
▶心音弱まる
▶舌や歯茎が真っ青(チアノーゼ)
▶呼吸がおかしくなる
▶無尿
※上記全ての症状が出るわけではありません。
犬には脚の裏側や鼻の頭付近などの所に汗腺(エクリン腺)があるだけで、犬は体温が上昇したときに、人の様に全身にタップリと汗をかいて気化熱で体温を下げることが出来ません。
※最近では、全身に分布しているアポクリン腺からも汗をかくと言われておりますが、分泌量は多くはないため、体温を下げる効果を期待するのは難しいので、口を開けて速く浅くハーハーし(パンティング)、空気の出し入れで体温調節します。
パンティングは、唾液を蒸発させる際の気化熱で体温を下げようという方法です。
ですから、体温が高くなって、熱中症の初期段階では、このパンティングが更に速くなり、さらに大量のヨダレを流しはじめます(冷やすため)。
しかし、熱を下げる効率は汗と比べるとよくはありません。このことが、犬は寒さには強くても、暑さに弱い理由の一つです。
空気が体温と同じか、それ以上になると、体温を冷やすことが出来なくなってきます。
つまり、室温や気温が高くなると、体温調節できなくなるのです。
ですから、温度の高い部屋・密閉空間では体温が急上昇します。
扇風機は熱い空気が籠もってしまうのを防ぐことは出来ますが、それだけでは十分ではありません。
犬は汗をかくことが出来ないので、風だけが当たっても涼しくは感じません。
身体を水で濡らして扇風機をかけたら、人間が汗をかいたのと一緒なので、気化熱で身体は冷えますが冷やしすぎには注意してください。
よって、扇風機だけではなく、エアコンも大事です。
ところで、熱中症にかかりやすい場所・状況・要因は全部把握できていらっしゃいますか?
▶締め切った部屋の中でエアコンが無い
▶エアコンではなく、扇風機「だけ」で対応
▶窓際かつ日向にあるケージの中に留守番
▶水がない
▶日陰のない屋外に繋がれる
▶時間の経過と共に直射日光が当たる
▶水がない
▶暑い日の日中の散歩・運動(地面の温度+地面からの照り返し
。夏の日中のアスファルトの温度は50度を超えることも)
▶人の高さより、犬の高さの方が気温が高い
▶熱中症だけでなく、肉球を火傷する可能性もある
▶どうしても日中に散歩をする必要がある場合は、なるべく土や草の上、日陰を歩かせるようにする(でも、極力日中は避ける)
▶外気温は下がったものの、まだアスファルトの熱が残っている時間帯の散歩
▶直射日光の当たる車の中で放置
▶日陰でも真夏日のように気温が高い
▶車中に放置
▶水がない
▶短頭種
▶北方が原産で被毛が熱い犬種
▶太っている犬
▶子犬
▶老犬
▶呼吸器疾患を患っている犬
▶心臓疾患を患っている犬
▶不慣れな場所に行くと興奮する犬
▶下痢をしているなど、既に脱水気味の犬
などが挙げられます。
では、熱中症になったら、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
熱中症対策と予防 1
熱中症とは高熱が出て下がらなくなり、グッタリする状態です。
熱中症は飼い主さんの不注意で起きる事故の側面と、犬猫側の要因の両方があります。
そして熱中症になったら、
▶日陰に移動して、水を飲ませて、冷やす!
▶冷えたら動物病院へ連れて行く!
▶冷やすときは身体を濡らすより、濡れタオルや冷却グッズで頭、首筋の横、脇の下・そけい部を冷やす!(冷えすぎ防止のため)
▶風通しのよい日陰に移動し
▶水を飲むなら飲ませ
▶症状が重ければ急いで冷やし
▶冷やしながらかかりつけの動物病院に連絡して指示を仰ぎ
▶身体がある程度冷えたら動物病院で検診してもらう。
※軽症の場合でも必ず動物病院に連絡しましょう。
▶脇の下
▶股間
▶首の両脇
▶頭
▶高温
▶多湿
▶無風
▶水分摂取不足
次回の投稿で、いざという時に正しい対処・予防策を実践する方法をお伝えします。
想像で語ると不安になる
愛犬・愛猫のお腹を何気なく触っているとおっぱいのあたりにしこりが!なんてことが起こったらあなたはどうされるでしょうか?
ある飼い主さんは愛犬のお腹にしこりを見つけ、
「免疫力が落ちたのかもしれない」
「このまましこりが大きくなってしまうかもしれない」
しかしまずは「体の中で何が起こっているのか」を具体的に探っていくことが重要です。
原因療法的にこういうケースはよくあることで、 いわゆる免疫力が上がったり下がったりということは考えにくいわけです。
で、実際に調べること無く想像で物事を話すのは無駄なことなので、調べてみればいいわけです。
バイオレゾナンス法を用いた原因療法ではこの様な場合、
●腫瘍系反応物質の反応の有無
●炎症反応物質の反応の有無
を探ります。
腫瘍系反応物質の反応が強ければ、いわゆる腫瘍の状態
炎症反応物質の反応が強ければ、いわゆる炎症が強い状態
であると想定できます。
「腫瘍だったとしても、高齢だし手術をすることに不安があって…。」
ということで、調べてみましたところ…
炎症反応物質の反応が強かった!
というわけで今回のケースを調べてみると、
●腫瘍系反応物質の反応はほとんど無い
●炎症反応物質の反応は強い
という結果だったので、この腫れの主な原因は腫瘍ではなく、炎症反応の可能性が高いというわけです。
では、炎症があるということはどういうことでしょうか?
炎症があるということは、白血球が異物と闘っているということを意味します。
ということは、
●異物処理が進む→異物量が減る→腫れが引いた!
●再度、異物侵入→炎症反応→腫れた!
いずれにしても、腫れの原因は、実際に調べないとわかりません。
ただ、バイオレゾナンス法で調べるとこのぐらいのことはわかります。
もちろん、バイオレゾナンス法でなければならないということはないので、他の方法でもいいわけですが、症状からみたら「取るか取らないか?」で判断するしかないですよね。
どちらでもいいのですが、原因療法的にチェックをすると、手術以外の選択肢を選択できるかもしれませんね。
詳細は個人的なケースの話なので控えさせていただきますが、主な原因は、口に問題がありました(あくまでも、この子の場合です)。
口→血液→腎臓→リンパ節→乳腺
と影響が波及していた様でした。
●口内ケアの再チェック
●体内除菌
●腎臓・リンパ節の調整
●乳腺の炎症の調整
などを行って、ひとまずは二ヶ月様子をみることにしました。
高齢になると除菌にも時間がかかります。
歳を取ってから何かをはじめてもいいのですが、「とき既に遅し…」などとならない様に、できるだけ早い段階で、「歳をとる前にケアをはじめる」こともとても大事なのではないでしょうか。
気温の高い今だからこそやっておきたいこと
気温が高くなると、
1)元気がでる子
2)元気がなくなる子
3)症状が強く出る子
4)症状が消える子
など、個々で出てくる反応のバリエーションが増えて来ます。
それぞれに意味があるのですが、今回は、
気温の高い今だからこそやっておきたいこと
というテーマでお話しをさせていただきます。
当たり前の話ですが、夏ですから、以下の話は、「熱中症に気をつける」前提で話を進めていきます。
※熱中症に気をつける点については、コラムの熱中症対策と予防をご確認下さい。
まず、大前提として、一年中
【身体は常に元に戻ろうとしている】
という事実があります。
このとき、身体の全てのシステムが、偏ったりゆがんだ身体を元に戻そうとします。
例えば、異物(菌やカビなど)の侵入に対処し切れていなかったら、全力で元に戻そうとします。
薬が治すのではなく、治るのを邪魔しているものの影響を減らして身体が勝手に元に戻るのを、薬がサポートしてくれます。
くどい様ですが、薬が治すのではありません。
【自然治癒力で治るのです】
その時のツールの一つが「白血球」 です。
昔は「症状はいけないことで、すぐに消すべきである」 と考えられていた時代がありました。
しかし、免疫学の発展と共に、症状(炎症反応)の意味がわかってくると、
【症状は不快だが必要かつ正常な反応】
と認識されるようになりました。
つまり、症状は
【必要があって出ている反応だから、安易に止めてはいけない】
のです。
これがまず、大前提です。
もしあなたが、2月の札幌雪祭りに
「水着で集合!行進するよっ♪」
と誘われて、行ったとします(笑)。
胸を張って大手を振って行進できるでしょうか?
寒くて無理ですよね?
それと同じ様に、体温が低ければ、白血球はフルに働けないのです。
だから、身体を暖めましょうということになるのです。
しかし、筋肉量が少なかったり、運動量が少なかったりしたら、血行も良くないでしょうし体温も十分に上がらない可能性が高いです。
そうなると、
↓
異物の処理量が少なくなる
↓
そのうち、異物の蓄積量が多くなる
↓
体温が比較的高い深部で症状が出るほどに増える
↓
夏になる
↓
体温が上がる
↓
白血球も普通に闘える体温になる
↓
強い症状が出る
↓
毎年夏になると強い症状が出る
↓
夏は不快…と意味づけされる
これが、
【夏になると具合が悪くなる】
の原因の一つです。
だとしたら、この症状は止めた方がいいのでしょうか?
それとも、出せるだけ出したらいいのでしょうか?
前出したように、自然治癒力の原理原則には
【症状に悪いものはない】
というものがあります。
ですから、基本的には生死に関わるとか、強いストレスを感じるほどの不快感を伴うのでなければ、元に戻るまで待つのが本筋です。
このように、症状が出る場合も、出ない場合も、
【夏は白血球が働きやすい季節】
であることは間違いありません。
何でもそうですが、問題は小さいうちに解決するのが賢いやり方です。
だとしたら、夏のうちに異物量を減らしておき、大きな問題にならないようにしたいものです。
では、どうやったらデトックスになるのでしょうか?
【身体は常に元に戻ろうとしている】
ですから、
何か手を加えないと戻れないのではなく、無駄な作業を減らして放っておけば身体は正常な状態に戻るわけです。
だとしたら、一番いいのは、
【水分を十分にとって、一日の食事回数を減らす】
ですね。
食事を消化吸収するのはとてもエネルギーを必要とします。
食事回数を減らして、空腹な時間を増やせば、消化吸収に廻すエネルギーを<他の調整に使えます。
これは、自然界の動物が具合悪くなったら食べずにじっとしている事実から自然なことです。
もちろん、今まで三食食べられていたのが、突然一日一食になったら、「なんで食事できないんジャイ!」と不機嫌になる子もいるかもしれません。
でも、そんなときはひるまずに、「あなたの体調を考えてのことなのよ!」と、目を見て諭してください。
普段、食べさせる愛情ばかり与えてきた方は、
【食べさせない愛情】
があることも教えてください。
人間の子供に「おもちゃ!」とねだられたら、我慢させることも愛情なのと同じです!
通常の食生活をしていれば、よほど衰弱していない限り、一週間くらいの断食で生命の危機に瀕したりしません。
もし、心配なら、 食事指導に精通した獣医師(断食に精通した獣医師)に相談しながらやってください。
夏はとにかくリセットの季節です。
一年で最もデトックスに適した時期を有効活用して、来たるべき秋に備えたいものです。
ぜひ、参考にして、適切に夏をお過ごしください。
正しい情報を学ぶことの重要性について須崎が伝えたいこと
セミナーや診療を通して飼い主さんとお話しすると、
「愛犬・愛猫のために勉強をされている飼い主さんが、全国にはたくさんいらっしゃる!」
という事が解りました。
ですが、インターネットで調べていると、
「⚫︎⚫︎にはこうするべき!」
「⚫︎⚫︎にはこうしてはいけない!」
と、様々な記事がでてきて何を信じればよいのか迷ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
愛犬・愛猫のためを思って調べれば調べるほど、不安になったり混乱したりする飼い主さんを、これまでたくさん見てきました。
だからこそ、情報を正しく見極める力がこれまで以上に大切になっています。
そこで、 「正しい情報を学ぶことの重要性について須崎が伝えたいこと」を須崎とスタッフとのやり取りでお送りいたします。
いかがでしたでしょうか?
何かを学ぶときや情報を発信する際には、
「物を売るための情報」に惑わされずに、
「正しい情報」をご選択ください。
蚊にさされないのでフィラリアの薬は不要?
先日、診療中に、飼い主さんにこんな質問をされました。
「某犬の専門家から聞いたのですが、『犬は散歩中走っていたら、蚊が止まれないから、刺されないのでフィラリアの薬はいらない』と言われました。ウソですよね?」
「それ本当にそんなこと言われたのですか?聞き間違いでは?」
と申し上げましたが、この話は一人や二人から伺ったのではないので、実際にその様におっしゃっている方がいるか、そのような誤解を招くようなことをおっしゃる方がいるのかもしれません。
未だにそんなことを言う「犬の専門家」が存在するとは信じられないのですが、もし本当だとしたら、その情報発信する方にお願いです。
情報を提供する際は、細心の注意を払って下さい!
情報提供する際は、適切な情報をお願いいたします!
24時間走り続けますか?
蚊は屋外にいるだけではありません。
まして毎年の猛暑ですから、蚊も存亡をかけて、適温(?)を求めてさまよいます。
私も猛暑で蚊が少ないといわれる2018年の夏、自宅の部屋とトイレで刺されました。
ですから、「犬の専門家」のアドバイスだと、24時間走り続けなければならないことになります。
そんなこと、「いわれてみればそうですね(笑)」という話です。
このように、いっけん犬思いのアドバイスのように聞こえる話も、
「ちょっと考えたら無理がある」
のですが、視点を変えるほどの予備知識をお持ちでない飼い主さんが鵜呑みにしたら、とんでもない結末になるかもしれません。
●屋外飼育の犬では3夏過ごすとほぼ100%感染する
●高温多湿な日本では屋外飼育の犬では3夏過ごすとほぼ100%感染する
とも言われています。
屋内飼育ならリスクは少ないかもしれませんが、ゼロではないのです!
今ではフィラリア症で亡くなる犬も少ないので(フィラリア薬のおかげなのですが)、どんなことになるのかご存じない飼い主さんも少なくありません。
フィラリア症で亡くなる犬は、
【気がついたらゼーゼーと咳をする様になり、地上で溺れるように呼吸困難になって死ぬ】
のです。
もちろん、私自身が体質的にワクチンを打てないように、例外的にフィラリアの薬が合わない子もいるかもしれませんが、それは私同様「例外」で、個別対応する話です。
あなたの愛犬が先のような最期を遂げるのと、肝臓での処理を天秤にかけたら、どちらを選びますか?
どちらでもあなたの選択を尊重しますが、選択したなりの結果に繋がります。
そのことを理解した上で、一時の感情に流され、後悔しない選択をしていただきたいのです。
では、フィラリアの薬に限らず、なぜ愛犬家・愛猫家は不安や心配になるのでしょうか?
色々な意見を聴くことのメリットは、一つの意見に大きく影響を受けなくなる点があります。
色々な意見を聴くと、色々な視点ができます。
色々な視点を持てることは、色々な解釈が出来る様になります。
色々な解釈ができると、色々な選択肢が持てます。
あとは、経験に応じて、自分で選択できるようになる人もいるでしょうし、 経験豊富な専門家に「うちの犬・猫の場合はどの選択肢が有効でしょうか?」と判断を仰ぐのもいいでしょう(理由付きで)。
私に相談してきた方々も、ペットアカデミーで「いろいろな視点をもつことの重要性」を学んでいるので、「こんな話があったんですけど、違いますよね?(笑)」という感じだったので安心しました。
私としては、先の「犬の専門家」が
のようなことをはおっしゃっていて、私のところにお越しになった飼い主さんが、カッコの中をたまたま聞きそびれたか、記憶に残っていなかったかだったと信じたいところです。
ということで、普段からいろいろな情報を入手し、ときどき信頼できる専門家に情報の取捨選択をしてもらう環境を作ることをオススメします。
皮膚の痒み=皮膚病?
皮膚が痒いといったとき、皮膚に問題があると考える方が多い と思いますが、実際は、内臓から神経等を介して皮膚に症状を出しているケースもあります。
「内臓で問題が起こっていますよ!」
と、教えてくれるサインとしての症状です。
この場合、シャンプー療法、 ステロイド療法、抗生剤投与、 アレルゲン検査&IGE検査→除去食…をしても、ほとんど改善しないものです。
なぜなら、表面だけ取り繕っても、奥からドンドン症状を出すような指令がやって来るので、ムダなのです。
そんなとき、視点を変えて、他の臓器を探ってみると、白血球が異物と闘っている「戦闘地帯」になっている臓器があり、その原因を取り除くと、「今までの努力は何だったのか?」というぐらいに、症状が落ち着く事があります。
もちろん、症状が落ち着くまでの期間は「敵の量」「白血球の戦闘レベル」「戦闘地帯の環境」「敵が増えるペース」によって変わってきますが、
通常は、異物が処理能力の範囲内に落ち着く「終点」がやって来ます。
体力もある、戦闘力も高い、栄養の過不足もなく、ただ、
「敵が多いから全力で闘っている結果として症状が出ているだけ」
なのに。
そういう身体の事情(内臓の問題が皮膚に出てきている状態)を飼い主さんはご存じないため、 全く解決にならない方向例えば「食事の問題ばかりを探す」飼い主さんをみると、とてももどかしい思いになります。
とは申しましても、症状が出ているときに、根本原因を探って取り除くよりも、症状を抑えた方が速いし楽なので、その様な処置が求められ、
「のど元過ぎれば熱さ忘れる」
で、症状が消えてしまえば根本原因なんてどうでもよくなるのが普通です。
ただ、覚えておいていただきたいのは、 「風が吹けば桶屋が儲かる」の風を止めなければ、また同じことが起こる可能性がありますよ…ということです。
当院にお越しくださる飼い主さんは、いろいろなことをやり切っていらっしゃったので、「症状を消すだけで安心してはいけないこと」をご理解いただけており、話も早く、全体の診療がスムーズに終わることが多いです。
ぜひ、あなたも、表面的な症状にのみ囚われず、そうなる原因を探ってもらって下さいね。
免疫介在性溶血性貧血と診断され、もう治りませんと言われた話
「かかりつけの動物病院で、もう治らないといわれました…」
そんな飼い主さんがよく須崎動物病院にお越しになります。
生物に100%はありませんから、個人的には最初から「治らない」と考えて取り組むより、何か方法はないかと試行錯誤するスタンスで取り組んでおります。それが例え最終的には治らなかったとしてもです。
免疫介在性溶血性貧血(自己免疫性疾患の一つ)と診断され、「もう治らないから対症療法をするしかない」と言われて、毎日
「死なないで…死なないで…」
と泣いて暮らしていた飼い主さんがいらっしゃいました。
その時点ではかかりつけの動物病院でステロイド薬を中心とした「対症療法」でコントロールしていただいていたので、当院では「身体の中で何が起こっているのか?」を探ることになりました。
いわゆる「治りにくい病気」の場合、飼い主さんが悲壮感を漂わせて付き添うことが珍しくありませんが、それは決して良いことではありません。
それはなぜでしょうか?
想像してみて下さい。
あなたが具合悪くて寝込んだとき、家族が寝ているあなたを取り囲んでいますが、次の二つでどちらが治りそうですか?
1)全員が眉間にしわを寄せて、神妙な面持ちで、暗いトーンで「死なないで…」と言っている状態
2)明るい笑顔で、「大丈夫、大丈夫!数日寝てたら治るから!しんどかったら言って!」と言っている状態
もちろん、2ですよね?
1の状態だったら、「お願いだからどっか行ってくれ!治るものも治らない!」と思いませんか?
「脳は考えたことを現実に反映させる臓器」で、「脳はイメージで考える」という原則があります。
そして、その考えていること、その人の雰囲気をペットは感じ取り、影響を受けることがあります。
また、心理学でいわれていることに「脳は否定形を理解できない」というものがあります。
子供が水を運ぶときに「こぼさないでね」と声をかけるとき、脳は「こぼしている状況」をイメージしています。それは、相手にも影響するという説がありますから、口では「こぼさないでね」と言っても、実際には「こぼせ!」と言っているのと同じです。
感の良い方はもうお気づきかと思いますが、
「悪化しないでね」
「どこか悪くなってない?」
「私をおいていかないで…」
「私を独りにしないで…」
「死なないで…」
というイメージを飼い主さんが抱くことは、どんなメッセージをペットに送っていることになるのでしょうか?
「健康のためなら死ねます!」
という勢いを感じる程、健康に気を遣っている方をときどきお見受けしますが、そんな人に限って頻繁に具合悪くなっていたりします。
逆に、「健康のためにしていること?健康とか、考えたことないです(笑)」ぐらいの豪快な方の方が、健康度が高かったりします。
健康を意識することは大事ですが、「病気にならないように」意識することは、決して好ましいことではないのです。(この一文、とても大事です)
もちろん、飼い主さんはペットに死んで欲しくて「死なないで…」と考えたり、口にしているわけではありません。大抵の飼い主さんはどうしたらいいのか明確に知っているわけでは無く、良かれと思って「心配」するものです。しかしその態度はペットにとって決して好ましくはないということを覚えておいてください。
このことを正確に理解していただけたら、「わかっているけれどできません」とはならず、「では、どうしたらそうできるのか?」という質問に変わるはずです。
思考・行動を変えるためには、「適切な理解」が重要です。
「中途半端な理解」で終わると、迷宮にハマります。
迷宮にハマらないためにも、個々のケースで適切な情報をもとに、適切な理解をしていただきたいと思います。
先の、免疫介在性溶血性貧血と診断された犬は、脾臓が腫れていました。
腫れているからには腫れる理由(異物の存在)があるはずなので、それを探って取り除く努力をしたところ、五ヶ月で赤血球数が基準値に戻り、七ヶ月でその腫れはほとんどわからなくなり、「なぜか治らないはずだった免疫介在性溶血性貧血が正常に戻っている…」と、かかりつけの先生に言われたそうです。
「その方法では原因が探れなかった」ことはあっても、原因が存在しない事はないのです。
難しい名前の病気の場合、特に、漢字が十文字も続くと難しい病気の様な印象があるのですが、免疫介在性溶血性貧血とは、
「白血球が攻撃しなければならない事態(免疫介在性)が生じ、そのとばっちりを受けて赤血球が破壊され(溶血)、貧血になった状態」
です。
その犬の時は、白血球の攻撃を止める対処(ステロイド薬投与や免疫抑制剤投与)で症状を抑えつつ、白血球が闘わなければならないと感じた原因を取り除く治療をするというアプローチを取ったら、たまたまかもしれませんが、うまく行きました。
このとき、飼い主さんが「何度も心が折れそうになりました。『ネットで調べるとろくなことがないから調べるな』と先生に言われましたが、ついつい調べては『どこにも治るとは書いていないし、死ぬとしか書いていない』ので、落ち込んでいました。でも、診療に行くたびに『そばにいる飼い主がメソメソしてどうする!』と叱咤激励されました。私の心が落ち着いてきた頃から、この子の調子が上向きになったと思います。」とおっしゃったのが印象的でした。
ですから、飼い主さんには希望をもってペットと接していただき、対症療法と原因療法を上手に活用して、症状を抑えつつ、原因も取り除いていただきたいものです。
免疫介在性溶血性貧血に限らず、治りにくい疾患と診断されたとき、動物病院で暗くなることを言われ、ネットで調べても明るい材料はなく、落ち込んで泣いて暮らす飼い主さんが少なくありません。
しかし、先に申した通り、側にいる方がどんな精神状態かは、愛犬・愛猫が健康を回復するのに影響する可能性があります。
かといって、不安なことを見ないようにして、不自然に前向きになると、潜在意識で「不安」が大きく育ちがちです。こうなってしまうと、「努力逆転の法則」により、努力が空回りすることになるかもしれません。
ぜひ、愛犬・愛猫のためにも、飼い主さん自身のためにも、適切な理解と、希望の持てる治療に取り組んでいただきたいと思います。
他の飼い主さんにも
「インターネットで検索すると暗くなるような情報しかなかったけれど、頑張ってみようと気持ちを変えるキッカケになりました!」
と言っていただけたので、きっとお困りの方には心の支えや、適切な治療選択のキッカケの一つになる情報かもしれません。
対症療法では症状を抑えればよいのでほとんどのケースに当てはまる症状の消し方はあるかもしれません。
しかし、原因療法的観点では、原因が異なれば取り組むことは変わるので、どのケースにも当てはまる「万能の免疫介在性溶血性貧血の治し方」は存在せず、個々のケースに応じた対応をするしかありません。
そのためにも、「症状を緩和させつつ、原因を探って取り除いたら、解決する可能性はあるかもしれない」し、そのためにも、飼い主さんは適切な知識を入手して、適切な理解と適切な心のあり方で、愛犬・愛猫の体調不良を支えていただきたいと個人的に思っております。
この文章が、免疫介在性溶血性貧血と診断されて落ち込んでいる飼い主さんにとって、なんらかの心の支えとしてお役に立てれば幸いです。
猫が手作り食を食べてくれない理由
よく、
「うちの猫に手作り食を作って出したら見向きもしませんでした」
というご連絡をいただきます。
これには、いろいろな理由が考えられるのですが、
その一つが「正常な警戒心が働いている」からというものがあります。
いままでカリカリで育ってきた猫に、 肉や魚を見せても見向きもしないことは珍しくありません。
なぜなら、猫には正常な警戒心が働くため、
「初見のものには警戒する」
という性質があり、慎重になっていることがあります。
それと、
「そこにあるものを食べ物と認識していない」
こともあるのです。
この解決法として、
皿にあるものを飼い主さんが食べて見せることで、
猫は
「それ、食えるのか?」
と興味を示すことがあります。
診療をしていると、よく伺う「行き詰まり」についてお話しをさせていただきます。
「うちの子、ササミを食べてくれないんです…。」
という陳情が少なくありません。
で、どうやって食べさせているのかを伺うと、
「お湯で湯がいて…」
とおっしゃることが多いので、
「望む結果が得られないなら、違うことをやれ、なんでもいいから」~リチャード・バンドラー~
の精神で、
「湯がいて食べないなら、油で炒めるとか、焼いてみたらいかがでしょうか?」
と申し上げます。
すると、
「あっ、それは気がつかなかったわぁ~」
とおっしゃることが多いです。
そして、帰宅して実践していただくと、ササミを湯がいたら食べなかったが、焼いたら喜んで食べた。というケースが本当によくあります。
つまり、香りや風味が湯がくことで薄まり、食事として興味が持てなかっただけなのかもしれないというケースがあるのです。
「猫またぎ」
という言葉がございます。
元々は「魚好きの猫でさえ、またいで通りすぎる程、まずい魚」という意味だそうです。
ここから、
「美味しくない食べ物」
とか、
「誰も取り合わないこと」
という意味になったようです。
確かに私の実家にいた猫も(彼はトウモロコシが大好きでした)、美味しいトウモロコシはウニャウニャ言いながら食べていましたが、甘くないトウモロコシは、ニオイをかいでどこかに消えていきました。
香りも非常に重要なのかもしれません。
たった一度の挑戦、たった一つの調理法など、手段に執着すると、望む結果に到達しないことがあります。
こだわるべきなのは方法・手段ではなく、結果です。
そのためには、「工夫をしてみる」「簡単に途中であきらめない」という基本姿勢が大切なのではないでしょうか?





